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認めたくない想い

なにか事情があったのだ。

騙すつもりはなかったのだろう。

そう思うことで自分を慰めもしますが、この年になってのこのようなショックは中々立ち直ることが難しいものです。

私が騙されたという噂は村中に広まり、いたたまれない気分の私は村を出ることも考えましたが、年老いた両親を残すことも出来ずに淡々と毎日を過ごすことになりました。

「おれ、結婚するばい」

私と同じような境遇の幼なじみが、ウチに来てそう私に言いました。

「いつの間にオマエ、そんなことになっとたとや?婚活しとったんかいや?全然知らんだったぞ。(いつの間にそんなことになっていたのか?婚活していたのか?全然知らなかった。)」

驚いて矢継ぎ早に訊く私に幼なじみは「結婚相談所に登録してたんよ。」と言いました。

「オマエに話そうと思いよったけど、結婚相談所がイイもんか悪いもんかもわからんうちに教えて勧めたりでもしてさ、そこでまたオマエが傷ついたりでもしたら、オレはどう謝っていいかわからん。」

気の優しい男ですから、そう考えるだろうとは思います。

顔もそこそこ、性格も申し分ない、なにが悪くて結婚出来ないのか全く合点がいかない男ではありました。

言えるとすれば、積極的ではなかったろうとは思います。

それは私も同じですが。。。

「んで、どげんな人や?(それでどんな人?)」と訊くと彼は嬉しそうに、「歳はオレより3つ下ばってん、2人の子どもが居るとたい。(歳はオレより3つ下だが、2人子どもがいる)」と答えました。

「子持ち?死に別れや?それとも離婚や?」

彼は初婚ですから、なんで子持ち選ぶのだと思ってしまいました。

相手さんに対して失礼なことを言っていると解ってはいるのですが、納得はいきません。

適齢期を逃した男などは贅沢を言えないということなのでしょうか。

「離婚だと聞いとるばい。うん、初めはオレもそう思ってた。なんでバツが付いてる人とってな。」

ただな。。。と、彼は続けます。

「オレもう40半ばやろ?今から子供産むとすると、子供の成人式には66才ばい。

何があるかわからんしな。

それを子どもがいる女の人に対して『そこまでよく育てたな、頑張ったな、ありがとう。これからはオレと一緒に育てような』そう思ってみたらどうだろうって考えたんだ。」

彼がいうのはこういうことです。

相手に子供がいるということは、そこまで育てる苦労を飛び抜かしてオレに家族ができるということだと。

それに対して自分も感謝し相手も感謝してくれて。。というお互いを思い遣れる結婚ができるんじゃないかと考えたということです。

事実彼が結婚する相手は彼に接するとき万事控えめでありながら、自分を選んで結婚を決めた彼への感謝を常に態度で現してくれる気立ての良い人のようです。

その姿を見て、最初難色を顕わにしていた両親も彼女に好意を抱くようになり、二人の子供達にもさりげなく文房具などを買っていたりするようになっていったと。